今回のウルトラマンオーブさんはここ見よ20  ~タルデに見た、メトロン星人の矜持!~

どーも羽野です。
数週間に渡り復讐の機会を窺っていたであろうメトロン星人が、遂に動き出す20話について記述します。
※記事の日付は放送当時のものに合わせてあります。
 
『復讐の引き金』
あらすじ
復讐に燃えるメトロン星人タルデ。白昼堂々、ジャグラーに深手を負わせ彼の蛇心剣を奪った。危機に陥ったジャグラーを救ったのはなんとガイ。どさくさに紛れて逃亡したジャグラーと偶然出くわしたナオミは、心中複雑ながらも介抱する。
ジャグラーからガイとの過去について聞かされる一方、ジェッタとシン、渋川はナオミが、目撃情報にあった円盤に連れ去られたと考え捜査を開始する。
その円盤の主はタルデ。仇討ちの為ならば誰だろうと容赦しないタルデに、ナオミたちは見つかり、銃口を突きつけられてしまう。急げガイ!

此度の注目ポイントは、
・タルデとガイとジャグラー、三者三様の宇宙人
・ハリケーン奮戦!
・夕日バックに戦う。セブンリスペクトの演出
・語られるジャグラーの過去
 
 
・タルデとガイとジャグラー、三者三様の宇宙人
 13話からここに至るまで、オーブオリジン登場編も有った分長めに待たされたタルデ。これまでの鬱憤をはらそうとジャグラー相手に大ハッスル。
 復讐に燃えるタルデは、番組冒頭からジャグラーを追い詰め、蛇心剣を奪い、突きつける。タルデの脳裏にはジャグラーに貶され、抹殺された侵略連合の仲間たちの姿がよぎる。
 ここまで怒る辺り、知性的であるが淡白な印象を受ける初代や、THE侵略者なメトロンJr.・3代目メトロンらとは異なる忠義や仲間意識の強い人なようで。……何で侵略者になった。
 
 あくまでも目的は復讐のタルデ。ガイや地球人には無暗に手を出さないが、同時に邪魔もしてほしくない。
 君には無関係だと言い放つタルデとのやり取りからは、ガイさんのジャグラーに対する認識と、地球の平和を乱すものは何人たりとも許さないというウルトラマンとしての矜持が垣間見える。
「手ならとっくに焼いてる」
 呆れながら上記のセリフを言うガイさん。この発言からジャグラーとの腐れ縁具合がよく分かる。
 そのジャグラーはナオミに介抱され、普段の彼らしからぬ弱気を見せる一幕も。ジャグラーについては後述するとして、今回は3人の宇宙人が、それぞれの立場・視点からお互いの事をどう見ているかが分かるエピソードである。
 

・ハリケーン奮戦!
 ナオミが円盤に連れ去られたと考え調査するジェッタ、シン、渋川。その円盤の主は勿論タルデだ。
 ジャグラーとタルデのいざこざに巻き込まれたナオミや地球を守る為、ガイは空中で変身。ハリケーンスラッシュへ!
 初っ端から流星キックにも似た技で蹴り飛ばし、見参!
 邪魔をされ続け怒り心頭のタルデはジャグラー抹殺の為にこさえたラウンドランチャーをぶっ放す。
 オーブスラッガーランスを回転させて銃撃を防御。そこからランスと足技を使った接近戦に持ち込む。柄の長い武器特有の、大きく振り回して見栄えあるアクション、を積極的に展開する。

 タルデも明らかに格闘には不向きな体なのに、屈み、ジャンプし、腕のランチャーで殴打するなどオーブに負けないアクションを見せる。アクターさんはさぞかし動きにくいだろう。あの頭では。
 更には、オーブスラッガーとスピードを活かした戦法で、ラウンドランチャー乱れ撃ちを完封だ。
 ここ最近は見せ場が少ない基本3形態だが、それを払拭するがごとくの大奮戦。18話辺りから思っていたが、自分の中の闇と向き合ったことで、フュージョンアップ形態も相応のパワーアップを果たしたのでは?
 

・夕日バックに戦う。セブンリスペクトの演出
 タルデとの拮抗した戦いを見せるが、相手は円盤持ち。5代目バルタンよろしくの二面作戦を展開してきた。背後から襲われたのではスラッガーランスによる防御も無効化されてしまう。そう言えば、これまでオーブは2体以上の敵と戦うことは無かったかと。
 反撃の一手は、使い慣れたオーブカリバー! 劇中で新しく見せる技を使い、タルデを撃破。

 そして今回のタルデ戦はウルトラセブンの時と同様に、夕日をバックに戦うものだった。マックスやギンガSでも同じシチュエーション。初代の頃から変わらぬ、「夕日が似合う宇宙人」である。
 散り際もまた知的なメトロンらしさが出ており、どこか哀愁漂うものに。
 儚さから生ずる美しさを持ったタルデだが、本話では再三に渡ってガイに意味深長な事を言っている。断末魔の発言もあって、美しさと同時に不気味さを滲ませるキャラクターとなった。夕日が雲に飲まれるシーンは何の暗示だろうか。
 

・語られるジャグラーの過去
 偶然出くわしたナオミは、構うなと突き放すジャグラーの意思を無視しして手当てする。
 以前だったら、ネットリ嫌味の一つでも言いそうなものだが、今回の彼は珍しく弱気というか自暴自棄気味というか……。
 やはりタルデに剣を奪われたことがショックだったのだろう。落ちぶれたもんだなと自嘲する始末。
 そして2人の会話は今回一番のポイントたるガイとジャグラーの過去へと。ジャグラーには散々ひどい目にあわされてきたナオミだが、言いたくなかったら言わなくて良いと気遣いを見せる。良い娘だ。
 侵略連合の面々が語っていたように、やはりガイとジャグラーは同じ勢力に身を置き腕を競っていたらしい。

 正体を隠す気がないジャグラーはペラペラと己の過去を語る訳だが、これって同時にガイが宇宙人だってバレるんじゃないだろうか。
 俺に光など必要ないと言い切るジャグラー。だがナオミに19話での出来事を引き合いに出され、光がジャグラーの中にもあるのではないかと指摘を受けてしまう。眉を潜めて彼女を睨むシーンを見ていると、
ジャグラーは、自分の中の光を認めたがらないダークヒーロー」
という印象を受ける。
 そしてナオミと別れるシーンおよびラストシーンでの青柳さんの芝居は必見。ホント、ジャグラーの新たな面が見える回だわ今回。
 

タルデとの戦いが終わるも、どこか不穏な空気が漂うラストとなる回。いやはや、タルデのあの言葉にはどんな意味が込められていたのか、そこが気になる……。
 

さて次回
空中に漂うハイパーゼットン・デスサイス。
青いリボンを付けた少女が使役しているようだが……。
お祖母さんに髪をとかしてもらい喜ぶ一方、ガイと肉弾戦を展開するほどの実力を持つ少女。
ハイパーゼットンとの関係は何か、彼女の正体は?
謎を解明するため、ガイは調査に乗り出した!
 
ウルトラマンオーブ第21話『青いリボンの少女』
再びハイパーゼットンの登場です。リボンの少女はゼットン星人やバット星人と関係あるんでしょうか?
いざさらば。
 

 

 

今回のウルトラマンオーブさんはここ見よ19  ~人は誰しも不安を抱えてる~

どーも羽野です。
これまでメインヒロインとして活躍してきたナオミに、別の意味で試練が訪れる19話について記述します。
※記事の日付は放送当時のものに合わせてあります。
 
『私の中の鬼』
あらすじ
ナオミは高校時代の友人・の結婚式に招待される。だが、参列者の心ない発言が原因で、ナオミの心に暗い影がさす。更に帰り道の途中、履いていた靴のヒールが折れてしまい、ナオミは苛立つばかり。だが転んだ場所は、靴を添えると異性との縁を結んでくれる石碑の前だった。
縁結びに何か頼らないと言い放ち、靴を投げつけて彼女は立ち去る。
そして結婚式当日、式場に突如、紅蓮の鎧武者が現れた。奴はなぜ現れたのか、その目的は何か?

此度の注目ポイントは、
・夢と結婚……
・戀鬼!?
ジャグラーのセリフを認めるガイ
・剣戟戦が映えるアクションシーン
 
 
・夢と結婚……
 SSPを運営する為、ナオミは今日もバイトにいそしむ。多忙な彼女はバイト先から直接、旧友・陽子のお祝いに向かう。おしゃれはすれども食事は菓子パン。それも時間を節約するため歩きながら食べるほど。
 この様に毎日エネルギッシュに活動し仕事も恋も自分で掴むものと意気込む彼女は、TVで見た縁結びの石碑には否定的。
 そんなナオミはお祝いの席に参加するでショッキングな事実を知る。陽子が結婚のために仕事を辞めると言い出すのだ。親の反対を押し切ってまでホテルの仕事に就きたがっていたのになぜ?
 ショックを受けるナオミに対し、陽子の友人たちは当然だろうという態度を取る。陽子のダンナは東都ホテルの御曹司だし、やっぱりオンナの幸せは家庭にあるというのが彼女らの言い分。陽子も否定するでもなく、口を閉ざしたまま。

 彼女の態度にひっかかったナオミは更に追求しようとするが、口には道中口にした菓子パンのチョコレートが。慌ててカバンからハンカチを出そうとすれば荷物をぶちまけ、バイト先の制服が飛び出す。友人たちはクスクスとあざ笑い、気まずいナオミは退室。
 ナオミが消えた瞬間、部屋は爆笑の渦。学生時代のナオミは非常に優秀な生徒であった。どーもこの「友人たち」はそれを良く思っていなかったようで。優等生がバイト生活していることをバカにする。
 いやはや。友人たちマウントを取るのに必死だなぁと思う。そのコミュニティの中で自分が有利な立ち位置に着こうとするのは、どこも一緒なんだなぁと。年齢や経験、職業を理由に相手をやり込める事に人は快感を覚えるものなのか。あー怖い。
 いたたまれず会場を去ったナオミ。せっかく新調した靴があっさり壊れてしまうし、踏んだり蹴ったり。そんな帰り道で偶然発見したのは、自分が否定していた石碑だった。
 
 
・戀鬼!?
 シンの調査で縁結びの石碑は、恋人との仲を引き裂かれた侍に関係のあるものだと判明。その直後、紅蓮の鎧に身を包んだ侍が街中に出現した!
 初出は『ウルトラマンコスモス』に出ていた怪獣(というか幽霊か?)。メカザムの改造だからエラく様変わりしてるけど、あの戀鬼だ。黒髪とか。しかしコスモスでも恋愛がらみで騒動を起こしていたなコヤツ。悲しいかな、悲恋に苦しむ者はどこの宇宙にもいる様だ。

 マックスからは歴代シリーズの懐かしい怪獣がよく再登場する様になったけど(着ぐるみの再利用という面もあるが)、コスモスの怪獣が、しかも1話しかでていないヤツが出るのは珍しい。
 そしてシンが戀鬼の言い伝えに関して解説している時のガイさんの表情に注目。どこで知り得たかは不明だが、彼は歴代ウルトラマンの事を知っている。という事は、コスモスと戀鬼の戦いも知っているのだろうか?
 マルチバースという概念が導入されて以来、全てのウルトラシリーズは「別の世界だけど繋がってる」状態にある。ガイは歴代戦士のことをどうやって知ったのか個人的には気になるところ。
 
 
ジャグラーのセリフを認めるガイ
 自分が戀鬼を出現させてしまった……! 靴を拾いに行ったナオミだが靴は既に無い上にジャグラーが現れた。縁結びの筈の石碑から怨霊を呼び覚ませたことにジャグラーは驚く。
 お前はどこかに闇を抱えている、ガイにも言った事を、ジャグラーはナオミにも語り掛ける。
「誰の心にも闇はある。闇があるからこそ、光もある」
 現れたガイはジャグラーの意見を突っぱねる。自分の中の闇と向き合ったガイだからこそ言えるセリフ。逆に言えば、こういう事を臆面もなく言える程にガイは強くなったんだなと感じる1シーンだ。
 
 いずれ現実に打ちのめされることになる、地獄からの誘いに身を委ねろ。不吉な事を言い残し立ち去ったジャグラーに対し、珍しく良い事言ってたなと、ガイは誉める。
「人生は思いもよらないことが起こる。ナオミが本当に望めば未来は変えられる」
 そういえば、第7話で似たような事をハルカに言ってたなガイさん。
 なるほど確かに。昔はどうだか分からないが、第1話から今回に至るまでジャグラーが碌なこと言ってないというのは、視聴者も知ってるからね。今回の発言は珍しい。やはり解釈一つで変わる物なんだな評価って。
 
 
・剣戟戦が映えるアクションシーン
 陽子に危機を知らせたナオミだが、信じてもらえないどころか、結婚に反対なのかと疑われてしまう。
 そこへナオミの靴を履いた戀鬼(紅蓮鬼)が襲い掛かる!
 渋川さんが避難誘導するも、陽子は逃げようとしない。
 ガイはハリケーンスラッシュで出撃。トライデントスラッシュを繰り出すが、動きを見切られスラッガーランスを素手で受け止められてしまう。
 侍は剣術だけでなく柔術などの徒手格闘にも精通している訳だが、戀鬼もその例にもれず。オーブの動きを見抜く辺り、相当鍛えていたんだろうな。
 
 対するガオはオーブオリジンで対抗。
 武器と武器のぶつかり合いは、レオとケットル星人、ビクトリーとジュダといった戦いを想起させる。
 特に、ナオミが陽子に戀鬼の正体を白状するシーンに挿し込まれる剣劇戦は必見。
 髪を振り乱し刀を振るう戀鬼と、オーブオリジンの素早い剣技の応酬は実にスピーディだ。一瞬しか挟まれないが見ごたえ十分。
 だが、戀鬼は強い。マイナスエネルギーを刀身に宿した斬撃はオーブオリジンをも苦しめる。
 
 予想外の強敵を鎮めるため、ナオミは戀鬼に語り掛ける。縁結びの石碑として人を幸せにするのと、私(ナオミ)のちっぽけな妬みに惑わされて陽子を傷つけようとするのと、どっちが好きなのか。幸せだったのか。
 果たしてナオミの言葉は戀鬼を動かす。浄化チックなラストは、コスモスに近いものがある。
 マイナスエネルギーで動く相手には、力だけでなく心でもぶつかるのが効果的なようだ。シンとジェッタのアシストもナイス。
 そして騒動が収まり、陽子はなぜ東都ホテルを辞めることになったのかを語る。なるほど、お祝いの席で言いにくそうにしていた理由や逃げようとしなかった理由はこれらだったか。
 お互いに本音を出し合い、2人の女性は改めて友情を深めるのだった。
 

 ラストシーン。ハグするナオミと陽子の姿には爽やかな感動を覚えます。彼女らに気を使って先に離れるジェッタとシン、そして親指を立てて立ち去るガイさんもいい味出してます。
 2人の不安はこの先も続くんだろうけど、逃げずに立ち向かっていくんでしょうな。自分も頑張ろっと。
 
 
さて次回。
惑星侵略連合を潰したジャグラーへの復讐に燃えるメトロン星人・タルデ。
両手のランチャーが火を噴き、ジャグラーは深手を負ってしまう。
ガイとタルデが激突する中、心中複雑ながらナオミはジャグラーを介抱する。
夕日をバックにハリケーンスラッシュと巨大タルデが真っ向勝負!

ウルトラマンオーブ第20話『復讐の引き金』
メトロん星人といえば夕日ですよねぇ。
いざさらば。
 
 

 

 

 

今回のウルトラマンオーブさんはここ見よ18  ~ゼラン星人はどうなった!?~

どーも羽野です。
山場を越えて、久々に1話完結形式となった18話について記述します。
※記事の日付は放送当時のものに合わせてあります。
 
『ハードボイルドリバー』
あらすじ
渋川一徹はビートル隊の隊員である。地球の平和を守るため、怪事件を捜査し、暗躍する宇宙人を追いかけ、今日も渋くコーヒーを決める。
だが一皮剥けば、娘・徹子の事で頭を抱えるお父さん。
徹子はどーにも父の事が気にくわないお年頃。従姉妹であるナオミは一計を案じ、渋川の働きを見てもらうことにしたのだが……。

此度の注目ポイントは、
・ビートル隊の活躍
・ノリノリでご機嫌なガイさん
ベムラー強化を企む暗黒宇宙の工作員
スーパー戦隊のような構図。戦えお父さん!
 
 
・ビートル隊の活躍
 『太○にほえろ!』っぽいBGMで始まる今回。コーヒーを嗜む渋川さんのモノローグと共に、ビートル隊員としての活躍が描かれる。事件現場での調査。部下である鑑識とのやり取り、街中でのゼラン星人追跡……などなど。
 ゼットン星人マドックの言葉が確かならばこの星は侵略する価値がない。しかし、惑星侵略連合が壊滅した今でも、人知れず地球で暗躍する宇宙人は後を絶たない。ゼラン星人は何が目的で地球に現れたのだろうか? ひょっとしたら、彼らはオーブを倒すために囮怪獣プルーマを呼び寄せようとしていたのかもしれない。それで工作員が忍び込んでいたとか。

 ……とこの様に、番組内では中々スポットライトが当たらない存在ではあるが、ビートル隊が前作『ウルトラマンエックス』でのXioの様に活動していることが分かるシーンが、本話冒頭で描かれている。
 隊員用の銃を構えて発砲・狙いはおそらくゼラン星人。渋川さんは今日も侵略宇宙人との戦いに精を出すのだ。
 しかし、そんな彼の悩みのタネは年頃の娘。親として心配なあまり交友関係に口を出す父親と、そんな親の行動は過干渉であると撥ねつけ名前で呼び捨てにする娘。絵にかいたような反抗期の子供がいる家庭だ。
 
 
・ノリノリでご機嫌なガイさん
 すっかり口も聞いてくれなくて困り果てた渋川さんはナオミたちに相談する。それを受けて今度は徹子の方にも話を聞くことに。飲み物を口にして暑がる仕草が同じなのは、やっぱり親子。しかし徹子は渋川さんの言動がとにかく気に入らない。
 ナオミの発案で仕事風景を見てもらおうとするが、それも拒否。親を視界にも入れたくないって相当こじらせてるなぁコレは。
 
 取りつく島もない状況の中で、たい焼き片手に事務所へ戻ってきたのは、前回聖剣を取り戻したガイさん。長年に渡って感じていた負い目も無くなり、随分ご機嫌な様子で。帽子を脱いで置くときなんか小声で「シュッ」と言う始末。
「ウチで居候みたいなことしてるクレナイ・ガイさん」
 彼は何者かと問う徹子に対するナオミの返事が上記のセリフ。確かに彼の立ち位置を説明するのは難しい。「居候みたいな」という表現になるのもしかたないが、ガイさん2、3日世話になるかって住み着いてから大分経ってるぞ。無理やり付き合わされる事になり、たい焼きを食べたいガイさんは嘆く。そんなに食べたいか。

 ともかく、渋川さんの仕事ぶりを観察することになった一同。しかし、当の渋川さんは冴えない仕事ぶり。行く先々で女性に声をかけて回ってばかり、挙句トラブルまで引き起こしてしまう。
 徹子は怒り心頭。だが、渋川さんのこの行動には理由があったのだ。
 
 
ベムラー強化を企む暗黒宇宙の工作員
 ナオミたちが渋川親子の仲を取り持とうとするその裏で、今回暗躍していたのがシャプレー星人である。かつての同族は怪獣ギラドラスを操って悪さをしていた。今回は宇宙怪獣ベムラーを引き連れて地球を襲撃。
 ベムラー強化のために美容に効くと謳った商品で生体エネルギーをかき集めていた点は、初代譲りの工作員ぶり。更に人間の肉体を利用する点はブラコ星人を思わせる。
 
 シャプレー星人もベムラーも『ウルトラ銀河伝説』で久々に着ぐるみが造られた連中だったと記憶している。それを考えると、面白い組み合わせだ。しかもベムラーは強化型。背中の体表が青くなり、歴代にはない2本の角が頭部に生えている。口から吐く熱線も威力増しましときた。さて、オーブは『ウルトラマン』第1話に出てきたこの記念すべき怪獣とどう戦うか?
 
 
スーパー戦隊のような構図。戦えお父さん!
 今回の戦いはオーブだけではなく、渋川さんも前線に立つという珍しい構図。愛娘からもエネルギーを奪ったシャプレー星人に怒り爆発の渋川さん。
 出現したベムラーの相手はオーブに任せ、自身はシャプレー星人と対決する。
 廃工場を舞台に、
 オーブVS強化ベムラー
 渋川さんVSシャプレー星人
という2対2の戦いが繰り広げられる。巨大戦と等身大戦の様子を合成して一つの画面にはめ込んだ絵面はスーパー戦隊シリーズのそれである。
 
 本当の自分を取り戻したからか、オーブの名乗り口上も気合の入ったもの。80ばりのジャンプキックや、ウルトラマンベムラーにしかけたような背負い投げを披露し、強化ベムラー相手に善戦する。だが厄介な事に光線を吸収する能力を備えていた。
 一方、シャプレー星人も瞬間移動能力とエネルギー採取に使った鉱石を盾にして渋川さんの銃撃をかわす。追い込まれたお父さんに残された武器は、残り一発の銃弾と知恵、勇気、そして娘の声援だ!
 
 
 娘の声援を受けながら戦う父親。ベタな構図ですが、だからこそシンプルでストレートに心に刺さります。そして物語のラスト、いったい「彼」にどんな変化が訪れたのやら。
 

さて次回。
いま世間では、願いを叶える石碑が話題。
そんな中、ナオミは友人の結婚式に招待されるも、ふとした事から嫉妬心に駆られてしまう。
友人の結婚式当日、突如巨大な鎧武者が現れた。
赤い鎧を身にまとい、髪を振り乱す鬼武者。その目的、正体は何なのか?
 
ウルトラマンオーブ第19話『私の中の鬼』
コスモスに登場した懐かしい怪獣が装いも新たに再登場です。
いざさらば。
 
 

 

 

今回のウルトラマンオーブさんはここ見よ17  ~闇を抱いて光となる。覚醒せし者『ウルトラマン』~

どーも羽野です。
マガオロチが登場してからの一カ月、遂に締めくくりとなる17話について記述します。
※記事の日付は放送当時のものに合わせてあります。

『復活の聖剣』
あらすじ
闇の力を拒み、ゼッパンドンの前になす術なく撤退したオーブ。
ガイを誘き出さす為、ナオミのいる病院をジャグラーが襲撃した。
間一髪のところで駆けつけたガイ。これが切っ掛けで、ガイとナオミを繋ぐ「事実」が明らかとなる。
再び現れたゼッパンドンに挑むも、ビートル隊から攻撃を受けてしまうサンダーブレスター。
だが、オーブは負けない。己を信じる勇気がガイの手に再び聖剣を握らせた。
みよ、オーブオリジン!

此度の注目ポイントは、
・2人を引き寄せる「お守り」
・覚醒のサンダーブレスター!
・マスクの優しい表情
・オーブオリジン!
 
 
・2人を繋ぐ「お守り」
 前話のラストで、ナオミのいる病院に出現したジャグラー。ナオミの名前を呼び腕を掴むシーンは軽くホラーの粋。
 そこへ救出に現れたのはガイ。到着がジャグラーより遅かったのは、ナオミの前に姿を出すのにためらいがあったからだろうか。
 ともかく、病室を離れた2人。窮地を脱したが、ガイは沈痛な表情のまま。またしてもナオミを危険に晒し、病室に有った「お守り」も傷ついてしまった負い目が、彼を更に苦しめる。
「俺は誰も傷つけたくないのに……」
 番組始まって以来、ここまで弱気なガイさんの姿は初めてだ。ナオミの問いかけにもどこか投げやりな様子。
 
 だが禍を転じて福と為すとはよく言ったもの。ジャグラーの襲撃が引き金となり、1話、5話、7話、8話を通じて張られていた伏線がここで回収される。ガイのミステリアスさを表わすのに使われていた小道具が、ナオミの「お守り」が、ここに来てまたも役目を果たすとは。
 ウルトラマンとして強敵と死闘を演じ、常にどこか張り詰めた糸の様であった彼が、ようやく緩むことを許された、そんな気がする。お守りに秘められた「事実」を知り、涙を流すガイの姿には、視聴者たるこちらも涙腺が緩む始末。
 
 
・覚醒のサンダーブレスター!
 救われたのもつかの間。強敵ゼッパンドンが再びガイの前に現れる。
 かつてナターシャにしたことと同じく、オーブニカを預けてガイは戦場に赴く。
 闇の力を使えと言うジャグラーの言葉を受けて、迷うことなくガイはサンダーブレスターに変身! リードの順番や変身する際の口上が15話と逆な点に注目だ。
「闇を抱いて光となる!」
 現状の最強戦力は雄たけびを上げてゼッパンドンに挑む。だが、マガオロチの時の様にはいかない。

 以前の戦いでは。肉を潰すような音を立てていたパンチや、思い切り振り下ろした頭突きをかましても合体魔王獣は怯まない。投げ飛ばそうと担ぎ上げても火球に邪魔され、逆に相手の殴打によろける。
 必殺のゼットシウム光線を放つもゼッパンドンシールドに防がれてしまう。どれだけ堅牢なんだこのシールド。

 それでも光と闇の最強クラスの力を借りているだけあって、サンダーブレスター自身もタフ。前回は大きく吹き飛ばされた鋭いキックや、連続火球を受けても倒れない。
 両者ともに決め手を欠いた死闘である。
 そこに、オーブを攻撃すべく現れたゼットビートルの編隊。まさかビートル隊の発進シーンお披露目がこんな形とは。
 
 
・マスクの優しい表情
 ビートル隊の攻撃を受けたオーブに、ゼッパンドンは追い打ちをかける。火球と光弾の一斉発射をかましオーブと、彼の戦いを見守っていたナオミ、探しに現れたシン、ジェッタを爆炎に包み込む。
「さらばウルトラマン
 毎週恒例の企画、今週のサブタイトルを口にして止めをさしにかかるジャグラーの猛攻から、オーブは体を張って3人を守った。
 
 当たり前の話だけれど、この作品はフィクション。怪獣にしろ宇宙人にしろ設定上は生き物であるが、現実は造形物である。着ぐるみやマスクは作り物でしかないのだ。
 しかし不思議なことに、庇った3人を見下ろすサンダーブレスターのマスクが、ツリ目で強面のマスクが、とても優しい表情をしているように見える。本来ならば造形物でしかない、無表情であるはずのマスクから感情がにじみ出てくる。これが演出とアクターの妙が成せる技よ。
 
 
・オーブオリジン!
 己を信じる勇気が力になる。
 ガイの頼みを聞き入れたナオミが歌う中、真っ白だったウルトラフュージョンカードに光が灯り、本当の姿がそこに描かれる。
 リードすることで、ゼッパンドンの尻尾から聖剣が姿を現す。これまでオーブカリバーはマガゼットンに取り込まれていたのだろうか。魔王獣カードを通じてマガオロチ、そして尻尾を通じてゼッパンドンに伝達されていたとも考えられる。
 
 考察はさておき、オーブオリジンの復活だ。ぐんぐんカットはオーブ自身のOP! そしてついにあの言葉を言ってくれた! 第1話で名乗り口上をあげてから今回に至るまで、自分ではずっと言わなかったあの言葉を出した!
 ジェッタたちの声援を受け、勇ましく魔王獣に歩み寄る姿は堂々の風格。
 聖剣の一撃は威力が凄まじいらしい。徒手空拳では有効打を与えられなかった相手を大きく怯ませる。

 更に厄介なシールドは、オーブグランドカリバーで撃破。両サイドから挟み込むように走る光の奔流を防ぐため、ジャグラーが左右に展開したことと、剣技自身の威力が合わさって、見事に破れた。
 柄と刀身の間のリングが回転するギミックを見るに他の属性の技も使える様だ。
 そして第1話冒頭で魅せていた大技・オーブスプリームカリバー! 石黒さんの雄たけびがカッコいい。
 強敵を下し、ジェッタの生配信が功を奏し、メインキャラクターたちはガイの帰還を快く受け入れてくれた。正に万々歳なラストである。
 

 いやはや、マガオロチから続く中盤の山場を越えて、ひと段落というところです。第1話から続く伏線も回収され、ここからはラストへ向けて突っ走るだけの様ですね。
 

さて次回。
ビートル隊の隊員である渋川一徹は、今日も地球の為に活動していた。
聞き込み、張り込み、一般人に張り倒され、宇宙人を追跡する。
一方で彼は、娘との関係に頭を抱える父親でもあった。
地球の平和を乱すベムラーとシャプレー星人に、一徹お父さんが立ち向かう!

ウルトラマンオーブ第18話『ハードボイルドリバー』
ここからは1話完結が復活の様で、まずは渋川さんメイン回です。
いざさらば。
 
 

 

 

 

今回のウルトラマンオーブさんはここ見よ16  ~トラウマの場所にトラウマの怪獣を添えて、貴方にお届けします~

どーも羽野です。
しんどい展開が続くオーブ。追い打ちをかけるようにヤツがガイの前に現れる16話について記述します。
※記事の日付は放送当時のものに合わせてあります。

『忘れられない場所』
あらすじ
強大な力を御することは叶わず。容赦なきゼットシウム光線の前にギャラクトロンを倒したが、ナオミに重傷を負わせてしまったガイ。
己を許せないガイは日本を離れ、かつて訪れた北欧の国、ルサールカに向かう。己の力とどう向き合えばいいか悩むガイの前に、追い打ちをかけるようにジャグラーが現れた。マガオロチの尾を媒介に、ゼットンパンドンの力を合わせた合体魔王獣がオーブに襲いかかる。
一方、日本ではウルトラマンオーブを脅威と見なす声が民衆からあがっていた……!

此度の注目ポイントは、
・オーブ敵視の世論
・ルサールカの悲劇
・トッピングはトラウマ。ゼッパンドン
・苦戦の連続。迫る合体魔王獣!
 
 
・オーブ敵視の世論
 陰鬱とした前話ラストから一転、NGワードと化した「ガイ」という語に過剰反応するシンや、奇抜な格好をする圭子、完全に圭子の付き人と化した渋川さんなどコミカルなシーンから始まる16話。
 圭子がなぜ奇抜な格好をしているのかとシンが問うところから、マスコミの動きがナオミ(と視聴者)に説明される。

 報道陣がナオミのいる病院の前で待機しており、夢野家にも取材依頼が殺到しているとのこと。
 世間はギャラクトロンとの戦いが原因でオーブを敵視しており、ナオミからも否定的な意見を引き出したいらしい。
 ナオミ自身はオーブへの理解を示すが、渋川は発言を控える様に忠告する。
「オーブは人類の敵か味方か」
 一応、メディアは上記の問いを掲げているが、ジェッタ、渋川の発言を聞くに「オーブは敵」という答えを世間は既に出しているようだ。だからナオミが皆と違う見解を示せば、彼女にも敵意を向けるだろうと渋川は判断した訳だ。これぞ同調圧力
 世間だけでなく、ビートル隊内でもオーブを敵と見なす意見が出ている。

 状況は悪化する一方だが、民衆のデモ行進を描くなどのクドクドとした描写をせず、メインキャラクターの口から言わせるだけでオーブが敵視されていると表現するのは流石。
 本当なら重苦しい空気が漂うであろうシーンだが、圭子のカラっとしたキャラクターがそれを吹き飛ばす。更に娘に人として大切なことを言い含める姿は母親の貫禄たっぷり。
 ヒーローの危機的状況を、重たい気持ちで見ずに済むのは視聴者として有難いところ。
 
 
・ルサールカの悲劇
 ギャラクトロン戦で気づいたシンは「ルサールカ大爆発」という過去の事件をナオミに知らせる。
 20世紀の怪事件と劇中では語られているが、本話まで視聴した者ならば事件の原因が何だったか推測は立つだろう。
 圭子には忘れろと言われたが、ナオミは姿を消したガイに想いを馳せる。
 一方、当のガイはそのルサールカを訪れ、過去の出来事を思い返していた。
 自分を介抱してくれた少女・ナターシャとの交流。彼女にもよく聞かせていた、オーブニカで奏でるメロディーは故郷の曲。そして、これまで何べんも劇中で流れた第1話冒頭、マガゼットンとの戦い。
 
 辛い過去に苦しむガイ。追い打ちをかけるようにジャグラーが現れ、過去には戻れない、前のお前には戻れない、ベリアルが新しいお前を引き出してくれたじゃないかとガイに語り掛ける。
 変身すれば最後、相手を徹底的に破壊するサンダーブレスターは、新しい自分ではないとガイは否定するが、ジャグラー続ける。
「力を持った者は己の力を試すために、他の者を破壊し、支配したくなる」
 ジャグラー本人は、闇の力に魅入られた過程でこう考える様になったのだろうか。
 更にマガゼットン戦、ギャラクトロン戦の事を引き合いに出して、ガイの場合は大事なものほど壊したくなるようだなと煽る。青柳さんのネットリ芝居が、ジャグラーの皮肉屋っぷりに拍車をかける。
 
 
・トッピングはトラウマ。ゼッパンドン
 超人同士の光弾ドッヂボールを経て、ジャグラーは回収していたマガオロチの尻尾を召喚する。
 そこにダークリングを通じてあの怪獣たちのパワーを尻尾に注ぎ込む。
 ウルトラマンを打倒し、視聴者にトラウマを植え付けたゼットン。体調不良のところを苦しめ、後の戦い(ウルトラセブン2002)ではセブンのトラウマとなったパンドン
「お前たちの力いただくぞ!」
 この2大怪獣の力とジャグラー自身を取り込み、合体魔王獣ゼッパンドンが誕生した!
 
 ストレート過ぎる名前の通り、デザインにも両怪獣の特徴が出ている。
 『ウルトラセブン2002』に登場した妖邪剛獣ガイモスの様な、怪獣の体を正中線に沿って割り、間に別の怪獣を挿し込んだ様な姿。コイツの場合はゼットンパンドンで挟み込んだものになっている。赤く刺々しい肩や体側部はパンドンで、黒い体表と黄色い発光体で覆われた胸部と頭頂部はゼットンという訳。
 それでいて、サメを思わせる独自の面構えは、ジャグラーの狡猾さを表している様な気がしないでもない。仕草にもジャグラー自身の性格が表れている様で、オーブとの戦いでは拳を鳴らす、手招きするなど非常に人間臭い。
 マガオロチ(強敵)にゼットン(強敵)、パンドン(強敵)、ジャグラー(変態)を混ぜ合わせたコイツは、トラウマというトッピングがふんだんに仕込まれた怪獣と言えるだろう。
 
 
・苦戦の連続。迫る合体魔王獣!
 傷心のガイだったが、戦わない訳にはいかない。
 スペシウムゼペリオンとなってゼッパンドンに挑むも、どこか前口上が空しく感じる。これまでの経緯と目の前の強敵が原因か。
 打撃がまるで効かず、スペリオン光輪を喰らい、口と頭部の発射口の計三か所から光弾、火球を放つゼッパンドン
 オーブは光線を放つも、ゼッパンドンシールド(キャッチリングのSE付!)で容易く防いでしまう。やはりゼットンの能力は厄介だ。
 体内のジャグラーはいつもの通り、本気を出せと煽る。

 スピード重視のハリケーンスラッシュが相手となるや、ゼットンゆかりの瞬間移動で翻弄。だがオーブもハイパーゼットン戦でこの戦法には慣れている。相手の動きを読み、ゼッパンドンの胸にランスを突き立てる。
 ビッグバンスラストを放とうとするも、高温でランスが溶かされてしまう。
 雷撃をくらい怯むオーブに、ジャグラーは闇の力を使えと発破をかける。ジャグラーはガイの「光」をどうしても否定したい様だが、今のガイにはそれができる筈もなく。

 選んだ結果はバーンマイト。スワローキックで多少はたじろぐが、パワー重視のバーンマイトでも力負けしてしまう。
 ミドルキックで吹き飛ばされたオーブは、マガオロチ戦と同様ストビュームダイナマイトを繰り出した。
 しかしパワーアップしているゼッパンドンは、直撃をくらってもマガオロチの様に体表を焦がすことはない。
 窮地を脱したものの、傷ついたガイは「彼女」の幻を見る。だが、手には真っ新なウルトラフュージョンカードが握られていた。
 ところ変わって病室のナオミは、寝付けないのか鼻歌を歌う。それに合わせて病院内にもう一人、同じメロディーを口ずさむ者がいた……。
 
 
 小舟さんの言う「闇を包み込む」ことが出来ない限り、ジャグラーには勝てないであろうガイ。彼は如何にして勝機をつかむんでしょうか。
 

さて次回。
日本に戻ってきたガイは、ナオミが持っていたマトリョーシカから重大な事実を知る。
折悪くジャグラーが、またしてもゼッパンドンで挑んできた。
オーブとゼッパンドン、更にゼットビートルも飛び交う激戦の中、ガイは己の闇と向き合う。
大切なものは自分を信じる勇気。その力を得たガイは、遂に本当の姿を取り戻す!

ウルトラマンオーブ第17話『復活の聖剣』
さあ剣と姿を取り戻して、オーブは「あの言葉」を言うんでしょうか?
いざさらば。
 
 

 

 

今回のウルトラマンオーブさんはここ見よ15  ~御しきれない衝動とパワー。あの悲劇がもう一度?~

どーも羽野です。
前回のラスト、見ようによっては股間を貫かれたように見えるので、オーブが心配でならない15話について記述します。
※記事の日付は放送当時のものに合わせてあります。

『ネバー・セイ・ネバー』
あらすじ
圧倒的なパワーを誇るギャラクトロン。異世界からのジャッジメンターにオーブは敗北をきしてしまう。
世界を救う勇者になってくれると信じていたシンは嘆く。小舟はそんなシンを叱咤激励するが……。
一方、深手を負ったガイは迷う。ギャラクトロンを止め、ナオミを救うには、あの力を使うしかない。強力ながら危険なサンダーブレスター。その力を使うべきか否か……。
だが、ギャラクトロンは迷う暇を与えない。
「他者からエネルギーを奪わなければならない様なシステムは野蛮かつ不完全である」
シビルジャッジメンターの目的は、地球の生態系そのものを滅ぼすことであった!

此度の注目ポイントは、
・暴走VS暴走
・残虐のサンダーブレスター!
・もうすぐ消えてくれる
・小舟のセリフと、オーブを許せない
 
 
・暴走VS暴走
 シビルジャッジメンターはオーブを上回る。幸い股間ではなく下腹部をブレードで貫かれ、ウルトラマンは強敵相手にまたしても敗れた。
 ギャラクトロンは、オーブには引っ込んでいろとばかりに冷淡な言葉を投げかけ、シンたちには地球の生態系自体がおかしいからリセットすると言い出す。ギャラクトロンを造った者は自分たちの価値観で判定基準を設けたんでしょうな。
 誰も犠牲に成らなくてすむ世界。草はシマウマに食べられず、シマウマはライオンに食べられず、それでいて皆生きていける。他の宇宙はそんな優しい世界なんでしょうよ。ただ残念ながら例外は何事にもあるんだよなぁ、地球とか。

 んで、自分たちの設けた基準にそぐわない連中は丸ごと排除・虐殺……優しくねぇなぁ俺達にはよ。こういう時に出てくるのが「解釈の違い」って奴だろうか。ギャラクトロン制作者から見ると、地球人みたいなのは生き物として不適当だから皆殺しにしてもOKとか。
 ジェッタの言葉で、ちょっとは考え直してくれるかと思ったがそうはいかない。ジャッジメンターは更なる大破壊をもたらす。ガイは迷っている時間はないと、サンダーブレスターに変身!
 ここに暴走する白い奴と、暴走しかねない赤く黒い奴の対決が始まった。
 
 
・残虐のサンダーブレスター!
 暴走しかねないと上で書いたが、早速サンブレはやってくれる。まず犠牲になったのはゼットビートルだった。他の連中の事なぞ知るか、という態度で猛然とギャラクトロンに挑む。
 暴走するほどだからこそ、パワーは強烈。他の形態ではギャラクトロンの強靭な装甲に阻まれていたが、サンダーブレスターならば有効にダメージを与えられている。衝撃で相手が怯むほどだ。

 逆に相手の攻撃は有効打にならない。クローから発射された光線に耐え、後ろを取られたギャラクトロンが抵抗しようと身じろいでもサンダーブレスターは己のパワーで抑え込む。
 そして地面に叩きつけ、蹴り飛ばし、腕を投げつけ破壊し、後頭部の尾状ユニットを引きちぎり、そのユニットを踏みつけ、マウントを取って装甲をズタズタにしていく。正気になったナオミの悲鳴も無視して、ギャラクトロンに徹底なる暴力を叩き込む。
 見よ。これが我らのウルトラマンだ。不気味な笑い声を上げても彼はウルトラマンなのだ。
 
 
・もうすぐ消えてくれる
 凄惨なる戦いに一同は愕然とする。ジェッタはシンに何とかしてくれと泣きつき、シンはどうする事もできないと虚ろな眼差しで答え、渋川は一人、無力感に打ちひしがれる。
「キャップがホントに死んじゃうよ……!」
「ジェッタ君。オーブはもうすぐ消えてくれます」
 かつて消滅を望まれたヒーローがいただろうか。カラータイマーが活動限界を現していると知るシンは、力なくジェッタに告げる。人間がウルトラマン消滅を願いながら呆然と見守る。この構図がただただ悲しい。

 その間もオーブは攻撃の手を緩めない。ギャラクトロンから今度は左腕のシールド兼ブレードを引きちぎり、それを武器にして容赦なく殴打する。何べんも何べんもブレードを叩き込む様は、まるで火曜サスペンス劇場である。犯人がゴルフクラブ(金属バットでも可)で相手を撲殺するシーンの様だ。
「やめろー!」
 声が掠れながらも放たれた、ジェッタ渾身の叫び。今まさにブレードをギャラクトロンに突き立てようとしていたオーブは、遂に動きを止める。
 凶器を振りかざしたまま、強大な己の力と制御しようとするガイ。ウルトラマンの造形美がこんなにも禍々しさを引き立たせるとは思わなんだ。
 

・小舟のセリフと、オーブを許せない
 サンダーブレスターの活躍でギャラクトロンは倒され、地球の生態系は破壊を免れた。
 だが、オーブは、ガイは、取り返しのつかない犠牲を出してしまう。その光景は、彼に第1話冒頭の出来事を思い起こさせるものだった。
 病院の待合室で、シンは項垂れる。科学は怪物を作り出すだけだと。そんな彼を救ったのは小舟のセリフと、スプリング。
「星が丸ごと一つの命……」
 小舟曰く、地球の生命体は一体となって生きる道を選んだ。まあ現実世界の人間は別として、仮に地球が一個の大きな命だとしたら、『ウルトラマンG』のゴーデスがやろうとした「全ての生命を一つにする」という事を、ある意味で成功させているのだろう。この地球という星は。ゴーデスの場合は、残るのはゴーデス自身だけど。
 
 一方、病室に駆けつけたガイは己のしでかした事と向き合う。そして出たのが、オーブを許せない、という自身への怒り。
 オーブの事を科学になぞらえて、小舟は自分の闇は力づくで消そうとしてはいけないと説く。
「闇を抱きしめる……そんな強さを俺は見つけられんのか……?」
 ガイはベリアルのカードを手に一人彷徨い歩くのだった。
 
 
 ロボット怪獣だから、相手の体を一部破壊してもグロテスクな描写にはなりにくい、という性質を活かした演出でしたね。まあ、その結果はサンダーブレスターの残虐さを強調するのに活用するためなんですが。
 一体、ガイがどうなってしまうのか。彼の試練はまだ続く……。
 

さて次回
東欧の国、ルサールカを訪れたガイ。
ここはガイが少女ナターシャと交流していた場所だった。
己の持つ力の大きさに戸惑うガイの前にジャグラーが現れ、ダークリングの力で合体魔王獣ゼッパンドンを生み出した!
ゼットンパンドンウルトラマンウルトラセブンを苦しめた強敵の合体獣に、今のオーブは戦えるのだろうか。
 
ウルトラマンオーブ第16話『忘れられない場所』
オーブ、かの地で試練の時を迎えます。
いざさらば。
 

今回のウルトラマンオーブさんはここ見よ14  ~ぎゃらく☆とろんのワクワク文明破壊~

どーも羽野です。
新たなロボット怪獣の登場と木之元亮さんの出演とあって気になる14話の見どころです。
※記事の日付は放送当時のものに合わせてあります。
 
『暴走する正義』
あらすじ
ゼットビートルの部品も造っている町工場「小舟製作所」の面々と交流するガイ。
突如そこへ巨大ロボットが現れた。
別世界から来たロボットを平和利用できないかと考えたシンだったが、ロボはナオミを取り込んだ! 
彼女を介し、巨大ロボ・ギャラクトロンは己の使命を語り出した。
「文明のリセット、破壊を」

此度の注目ポイントは、
・小舟社長
・シンの過去
・ギャラクトロンとは?
・巨大感あふれる、ギャラクトロン戦
 
 
・小舟社長
 木之元亮さん、お久しぶりです。バネ制作を主業務としている会社の社長という役柄で出演。「命を救うために技術を提供する」ため、仕事には厳しく、それでいて焼きそばを振る舞い、皆を労う。かつて演じていたダイナのヒビキ・ゴウスケ隊長を思わせる豪胆な親分として描かれている。
 バネ一筋で勝負する。他と同じじゃつまらねぇと語る、職人気質あふれる人物だ。
 更にギャラクトロンが暴走した際も、自分たちには分析を任された責任があると言い、何ができるかは分からねぇがこのまま見過ごすわけにはいかねぇと、シンに発破をかける胆力も持ち合わせている。
 
 彼が代表を務めているコフネ製作所は、少人数で活動している町工場の雰囲気を携えた企業。設定では、ゼットビートルに使用しているバネを専属で製造しているとの事。その精巧さには渋川さんも舌を巻く。
 昨今は顧客のニーズに合わせて少量多品種の販売が求められている時代。大多数は使わないけど、特定の人には必要な物。趣味や求められる要件が多様化している時代。時として一般市場に出回っている部品では賄えないようなスペックを求められる物もある訳で。ゼットビートルもコフネ製作所の作る特注バネじゃないと対応できないんでしょうね。
 

・シンの過去
 第1話から様々な発明品を作り、マガグランドキングの動向を探ったり、マガジャッパの侵攻を食い止めたりとSSPメンバーやガイをずっと手助けしてきた男・松戸シン。
 今回のアバンでは、ラゴン親子を助けた際に語っていた自身の夢が再度流される。
 獣医、タイムマシンの発明、そしてスーパーロボットの開発。
 第14話に来て、一気に人物の掘り下げ始まった。小舟さんとの関わりを通じてシンの過去が描かれる回だ。

 発明の事になると周りが見えない節もあるシンだが、困難にぶつかってもめげずに取り組む努力家であった事が小舟の口から語られている。
 災害救助用のロボットを造るのがシンの夢。故にギャラクトロン解析時はウキウキしっぱなしである。
 オーブ以上の巨体を誇るギャラクトロン。争いを止める力を持つと分かり、これが平和利用できれば、自身の夢が叶う。
 解析結果を見て、今の自分には造れないと笑顔で潔く認めるところからも、非常に楽しみながら調査をしているのが窺い知れる一幕だ。
 

・ギャラクトロンとは?
 しかし、シンの夢は無残に破壊される。
 ナオミが命名したロボット「ギャラクトロン」は地球の調査を通じて、地球人が争い続けている種と知るや活動開始。
 車ごとナオミを体内に取り込み、彼女を代弁者としたシビルジャッジメンターは、その名の通り「破壊・抹殺」の判定を下して暴れまわる。

 SSPとコフネ製作所のメンバーが解析した結果、地球の技術では到底不可能な、別次元の文明が作り出した力を用いて市街地を蹂躙する。あの光線の破壊力はヤバいでしょ。
 その一方で、立ちはだかるオーブを粛清対象から除外するあたり、ガイを始め「地球外から来た存在」である変身型ウルトラマンの事は、宇宙に害を及ぼさない存在と認識しているんだろうか。
 逆にティガやガイアの様な人間ウルトラマン、ジャックやギンガの様な憑依型ウルトラマンの事は、地球人だから攻撃しそうな気がする。あとベリアルも。
 一体、どこの輩がこんな物を造り上げたのやら。
 
 
・巨大感あふれる、ギャラクトロン戦
 都市部に洒落にならない被害を及ぼすギャラクトロンだが、その破壊シーンは見ごたえがある。オフィス街に現れた時の、ギャラクトロンの足元にいる会社員たち、という構図は第5話の時と同じく巨大感あふれる。まあ、足元の人たちはエラい目に遭うけど。
「お前は答えを急ぎすぎなんだよ!」
 シビルジャッジメンターの暴虐を止めるべく、ガイはオーブに変身。
 足元の一般人たちが見守る中、ギャラクトロンに挑む。
 先の通りスルーされながらも、透視能力を使ってナオミを探し出したオーブは胸部の装甲に掴みかかる。この時、オーブたちの周囲をグルグルと回るカメラワークは、急いで助け出さなければ、というオーブの心境を現している様だ。
 
 高層ビルの部屋の中から見える戦闘シーンというのも珍しい。窓から人が身を乗り出して戦いを見る、というシーンを映す事が多い中、画面手前から、室内にいる人の背中、窓、窓の外の怪獣、という構図で戦いを目撃する人々を表現するのは面白い。手間暇かけてるなぁ。
 前回のマガオロチに続き、ギャラクトロンもまた強敵。別次元人が手を焼くわけだ。魔法陣でスペリオン光線を無力化し、クローと盾で、オーブスラッガーランスを防御。トライデントスラッシュをも右腕のクローで受け止め完封してしまう。
 そして左腕は回転するとブレードになる。これでオーブは貫かれてしまうが……!
 
 
 またてしも強敵が出現。序盤のボスラッシュに続き、今度は強敵(=前後編)ラッシュですねぇ。物語も中盤を迎えてオーブに試練の時が来ています。
 
 
さて次回。
人類どころか地球の生態系そのものを破滅させようとするギャラクトロン。
異次元から来たロボット怪獣の前にオーブは敗北をきしてしまう。
捕らわれたナオミを救い、地球を守るためには、あの力しかない。
覚悟を決めたガイはサンダーブレスターとなり、ギャラクトロンに再戦を挑む!
 
ウルトラマンオーブ第15話『ネバー・セイ・ネバー』
ここで制御できるようになるんでしょうか、ベリアルの力。
いざさらば。