今回のウルトラマンオーブさんはここ見よ16  ~トラウマの場所にトラウマの怪獣を添えて、貴方にお届けします~

どーも羽野です。
しんどい展開が続くオーブ。追い打ちをかけるようにヤツがガイの前に現れる16話について記述します。
※記事の日付は放送当時のものに合わせてあります。

『忘れられない場所』
あらすじ
強大な力を御することは叶わず。容赦なきゼットシウム光線の前にギャラクトロンを倒したが、ナオミに重傷を負わせてしまったガイ。
己を許せないガイは日本を離れ、かつて訪れた北欧の国、ルサールカに向かう。己の力とどう向き合えばいいか悩むガイの前に、追い打ちをかけるようにジャグラーが現れた。マガオロチの尾を媒介に、ゼットンパンドンの力を合わせた合体魔王獣がオーブに襲いかかる。
一方、日本ではウルトラマンオーブを脅威と見なす声が民衆からあがっていた……!

此度の注目ポイントは、
・オーブ敵視の世論
・ルサールカの悲劇
・トッピングはトラウマ。ゼッパンドン
・苦戦の連続。迫る合体魔王獣!
 
 
・オーブ敵視の世論
 陰鬱とした前話ラストから一転、NGワードと化した「ガイ」という語に過剰反応するシンや、奇抜な格好をする圭子、完全に圭子の付き人と化した渋川さんなどコミカルなシーンから始まる16話。
 圭子がなぜ奇抜な格好をしているのかとシンが問うところから、マスコミの動きがナオミ(と視聴者)に説明される。

 報道陣がナオミのいる病院の前で待機しており、夢野家にも取材依頼が殺到しているとのこと。
 世間はギャラクトロンとの戦いが原因でオーブを敵視しており、ナオミからも否定的な意見を引き出したいらしい。
 ナオミ自身はオーブへの理解を示すが、渋川は発言を控える様に忠告する。
「オーブは人類の敵か味方か」
 一応、メディアは上記の問いを掲げているが、ジェッタ、渋川の発言を聞くに「オーブは敵」という答えを世間は既に出しているようだ。だからナオミが皆と違う見解を示せば、彼女にも敵意を向けるだろうと渋川は判断した訳だ。これぞ同調圧力
 世間だけでなく、ビートル隊内でもオーブを敵と見なす意見が出ている。

 状況は悪化する一方だが、民衆のデモ行進を描くなどのクドクドとした描写をせず、メインキャラクターの口から言わせるだけでオーブが敵視されていると表現するのは流石。
 本当なら重苦しい空気が漂うであろうシーンだが、圭子のカラっとしたキャラクターがそれを吹き飛ばす。更に娘に人として大切なことを言い含める姿は母親の貫禄たっぷり。
 ヒーローの危機的状況を、重たい気持ちで見ずに済むのは視聴者として有難いところ。
 
 
・ルサールカの悲劇
 ギャラクトロン戦で気づいたシンは「ルサールカ大爆発」という過去の事件をナオミに知らせる。
 20世紀の怪事件と劇中では語られているが、本話まで視聴した者ならば事件の原因が何だったか推測は立つだろう。
 圭子には忘れろと言われたが、ナオミは姿を消したガイに想いを馳せる。
 一方、当のガイはそのルサールカを訪れ、過去の出来事を思い返していた。
 自分を介抱してくれた少女・ナターシャとの交流。彼女にもよく聞かせていた、オーブニカで奏でるメロディーは故郷の曲。そして、これまで何べんも劇中で流れた第1話冒頭、マガゼットンとの戦い。
 
 辛い過去に苦しむガイ。追い打ちをかけるようにジャグラーが現れ、過去には戻れない、前のお前には戻れない、ベリアルが新しいお前を引き出してくれたじゃないかとガイに語り掛ける。
 変身すれば最後、相手を徹底的に破壊するサンダーブレスターは、新しい自分ではないとガイは否定するが、ジャグラー続ける。
「力を持った者は己の力を試すために、他の者を破壊し、支配したくなる」
 ジャグラー本人は、闇の力に魅入られた過程でこう考える様になったのだろうか。
 更にマガゼットン戦、ギャラクトロン戦の事を引き合いに出して、ガイの場合は大事なものほど壊したくなるようだなと煽る。青柳さんのネットリ芝居が、ジャグラーの皮肉屋っぷりに拍車をかける。
 
 
・トッピングはトラウマ。ゼッパンドン
 超人同士の光弾ドッヂボールを経て、ジャグラーは回収していたマガオロチの尻尾を召喚する。
 そこにダークリングを通じてあの怪獣たちのパワーを尻尾に注ぎ込む。
 ウルトラマンを打倒し、視聴者にトラウマを植え付けたゼットン。体調不良のところを苦しめ、後の戦い(ウルトラセブン2002)ではセブンのトラウマとなったパンドン
「お前たちの力いただくぞ!」
 この2大怪獣の力とジャグラー自身を取り込み、合体魔王獣ゼッパンドンが誕生した!
 
 ストレート過ぎる名前の通り、デザインにも両怪獣の特徴が出ている。
 『ウルトラセブン2002』に登場した妖邪剛獣ガイモスの様な、怪獣の体を正中線に沿って割り、間に別の怪獣を挿し込んだ様な姿。コイツの場合はゼットンパンドンで挟み込んだものになっている。赤く刺々しい肩や体側部はパンドンで、黒い体表と黄色い発光体で覆われた胸部と頭頂部はゼットンという訳。
 それでいて、サメを思わせる独自の面構えは、ジャグラーの狡猾さを表している様な気がしないでもない。仕草にもジャグラー自身の性格が表れている様で、オーブとの戦いでは拳を鳴らす、手招きするなど非常に人間臭い。
 マガオロチ(強敵)にゼットン(強敵)、パンドン(強敵)、ジャグラー(変態)を混ぜ合わせたコイツは、トラウマというトッピングがふんだんに仕込まれた怪獣と言えるだろう。
 
 
・苦戦の連続。迫る合体魔王獣!
 傷心のガイだったが、戦わない訳にはいかない。
 スペシウムゼペリオンとなってゼッパンドンに挑むも、どこか前口上が空しく感じる。これまでの経緯と目の前の強敵が原因か。
 打撃がまるで効かず、スペリオン光輪を喰らい、口と頭部の発射口の計三か所から光弾、火球を放つゼッパンドン
 オーブは光線を放つも、ゼッパンドンシールド(キャッチリングのSE付!)で容易く防いでしまう。やはりゼットンの能力は厄介だ。
 体内のジャグラーはいつもの通り、本気を出せと煽る。

 スピード重視のハリケーンスラッシュが相手となるや、ゼットンゆかりの瞬間移動で翻弄。だがオーブもハイパーゼットン戦でこの戦法には慣れている。相手の動きを読み、ゼッパンドンの胸にランスを突き立てる。
 ビッグバンスラストを放とうとするも、高温でランスが溶かされてしまう。
 雷撃をくらい怯むオーブに、ジャグラーは闇の力を使えと発破をかける。ジャグラーはガイの「光」をどうしても否定したい様だが、今のガイにはそれができる筈もなく。

 選んだ結果はバーンマイト。スワローキックで多少はたじろぐが、パワー重視のバーンマイトでも力負けしてしまう。
 ミドルキックで吹き飛ばされたオーブは、マガオロチ戦と同様ストビュームダイナマイトを繰り出した。
 しかしパワーアップしているゼッパンドンは、直撃をくらってもマガオロチの様に体表を焦がすことはない。
 窮地を脱したものの、傷ついたガイは「彼女」の幻を見る。だが、手には真っ新なウルトラフュージョンカードが握られていた。
 ところ変わって病室のナオミは、寝付けないのか鼻歌を歌う。それに合わせて病院内にもう一人、同じメロディーを口ずさむ者がいた……。
 
 
 小舟さんの言う「闇を包み込む」ことが出来ない限り、ジャグラーには勝てないであろうガイ。彼は如何にして勝機をつかむんでしょうか。
 

さて次回。
日本に戻ってきたガイは、ナオミが持っていたマトリョーシカから重大な事実を知る。
折悪くジャグラーが、またしてもゼッパンドンで挑んできた。
オーブとゼッパンドン、更にゼットビートルも飛び交う激戦の中、ガイは己の闇と向き合う。
大切なものは自分を信じる勇気。その力を得たガイは、遂に本当の姿を取り戻す!

ウルトラマンオーブ第17話『復活の聖剣』
さあ剣と姿を取り戻して、オーブは「あの言葉」を言うんでしょうか?
いざさらば。