今回のウルトラマンオーブさんはここ見よ15  ~御しきれない衝動とパワー。あの悲劇がもう一度?~

どーも羽野です。
前回のラスト、見ようによっては股間を貫かれたように見えるので、オーブが心配でならない15話について記述します。
※記事の日付は放送当時のものに合わせてあります。

『ネバー・セイ・ネバー』
あらすじ
圧倒的なパワーを誇るギャラクトロン。異世界からのジャッジメンターにオーブは敗北をきしてしまう。
世界を救う勇者になってくれると信じていたシンは嘆く。小舟はそんなシンを叱咤激励するが……。
一方、深手を負ったガイは迷う。ギャラクトロンを止め、ナオミを救うには、あの力を使うしかない。強力ながら危険なサンダーブレスター。その力を使うべきか否か……。
だが、ギャラクトロンは迷う暇を与えない。
「他者からエネルギーを奪わなければならない様なシステムは野蛮かつ不完全である」
シビルジャッジメンターの目的は、地球の生態系そのものを滅ぼすことであった!

此度の注目ポイントは、
・暴走VS暴走
・残虐のサンダーブレスター!
・もうすぐ消えてくれる
・小舟のセリフと、オーブを許せない
 
 
・暴走VS暴走
 シビルジャッジメンターはオーブを上回る。幸い股間ではなく下腹部をブレードで貫かれ、ウルトラマンは強敵相手にまたしても敗れた。
 ギャラクトロンは、オーブには引っ込んでいろとばかりに冷淡な言葉を投げかけ、シンたちには地球の生態系自体がおかしいからリセットすると言い出す。ギャラクトロンを造った者は自分たちの価値観で判定基準を設けたんでしょうな。
 誰も犠牲に成らなくてすむ世界。草はシマウマに食べられず、シマウマはライオンに食べられず、それでいて皆生きていける。他の宇宙はそんな優しい世界なんでしょうよ。ただ残念ながら例外は何事にもあるんだよなぁ、地球とか。

 んで、自分たちの設けた基準にそぐわない連中は丸ごと排除・虐殺……優しくねぇなぁ俺達にはよ。こういう時に出てくるのが「解釈の違い」って奴だろうか。ギャラクトロン制作者から見ると、地球人みたいなのは生き物として不適当だから皆殺しにしてもOKとか。
 ジェッタの言葉で、ちょっとは考え直してくれるかと思ったがそうはいかない。ジャッジメンターは更なる大破壊をもたらす。ガイは迷っている時間はないと、サンダーブレスターに変身!
 ここに暴走する白い奴と、暴走しかねない赤く黒い奴の対決が始まった。
 
 
・残虐のサンダーブレスター!
 暴走しかねないと上で書いたが、早速サンブレはやってくれる。まず犠牲になったのはゼットビートルだった。他の連中の事なぞ知るか、という態度で猛然とギャラクトロンに挑む。
 暴走するほどだからこそ、パワーは強烈。他の形態ではギャラクトロンの強靭な装甲に阻まれていたが、サンダーブレスターならば有効にダメージを与えられている。衝撃で相手が怯むほどだ。

 逆に相手の攻撃は有効打にならない。クローから発射された光線に耐え、後ろを取られたギャラクトロンが抵抗しようと身じろいでもサンダーブレスターは己のパワーで抑え込む。
 そして地面に叩きつけ、蹴り飛ばし、腕を投げつけ破壊し、後頭部の尾状ユニットを引きちぎり、そのユニットを踏みつけ、マウントを取って装甲をズタズタにしていく。正気になったナオミの悲鳴も無視して、ギャラクトロンに徹底なる暴力を叩き込む。
 見よ。これが我らのウルトラマンだ。不気味な笑い声を上げても彼はウルトラマンなのだ。
 
 
・もうすぐ消えてくれる
 凄惨なる戦いに一同は愕然とする。ジェッタはシンに何とかしてくれと泣きつき、シンはどうする事もできないと虚ろな眼差しで答え、渋川は一人、無力感に打ちひしがれる。
「キャップがホントに死んじゃうよ……!」
「ジェッタ君。オーブはもうすぐ消えてくれます」
 かつて消滅を望まれたヒーローがいただろうか。カラータイマーが活動限界を現していると知るシンは、力なくジェッタに告げる。人間がウルトラマン消滅を願いながら呆然と見守る。この構図がただただ悲しい。

 その間もオーブは攻撃の手を緩めない。ギャラクトロンから今度は左腕のシールド兼ブレードを引きちぎり、それを武器にして容赦なく殴打する。何べんも何べんもブレードを叩き込む様は、まるで火曜サスペンス劇場である。犯人がゴルフクラブ(金属バットでも可)で相手を撲殺するシーンの様だ。
「やめろー!」
 声が掠れながらも放たれた、ジェッタ渾身の叫び。今まさにブレードをギャラクトロンに突き立てようとしていたオーブは、遂に動きを止める。
 凶器を振りかざしたまま、強大な己の力と制御しようとするガイ。ウルトラマンの造形美がこんなにも禍々しさを引き立たせるとは思わなんだ。
 

・小舟のセリフと、オーブを許せない
 サンダーブレスターの活躍でギャラクトロンは倒され、地球の生態系は破壊を免れた。
 だが、オーブは、ガイは、取り返しのつかない犠牲を出してしまう。その光景は、彼に第1話冒頭の出来事を思い起こさせるものだった。
 病院の待合室で、シンは項垂れる。科学は怪物を作り出すだけだと。そんな彼を救ったのは小舟のセリフと、スプリング。
「星が丸ごと一つの命……」
 小舟曰く、地球の生命体は一体となって生きる道を選んだ。まあ現実世界の人間は別として、仮に地球が一個の大きな命だとしたら、『ウルトラマンG』のゴーデスがやろうとした「全ての生命を一つにする」という事を、ある意味で成功させているのだろう。この地球という星は。ゴーデスの場合は、残るのはゴーデス自身だけど。
 
 一方、病室に駆けつけたガイは己のしでかした事と向き合う。そして出たのが、オーブを許せない、という自身への怒り。
 オーブの事を科学になぞらえて、小舟は自分の闇は力づくで消そうとしてはいけないと説く。
「闇を抱きしめる……そんな強さを俺は見つけられんのか……?」
 ガイはベリアルのカードを手に一人彷徨い歩くのだった。
 
 
 ロボット怪獣だから、相手の体を一部破壊してもグロテスクな描写にはなりにくい、という性質を活かした演出でしたね。まあ、その結果はサンダーブレスターの残虐さを強調するのに活用するためなんですが。
 一体、ガイがどうなってしまうのか。彼の試練はまだ続く……。
 

さて次回
東欧の国、ルサールカを訪れたガイ。
ここはガイが少女ナターシャと交流していた場所だった。
己の持つ力の大きさに戸惑うガイの前にジャグラーが現れ、ダークリングの力で合体魔王獣ゼッパンドンを生み出した!
ゼットンパンドンウルトラマンウルトラセブンを苦しめた強敵の合体獣に、今のオーブは戦えるのだろうか。
 
ウルトラマンオーブ第16話『忘れられない場所』
オーブ、かの地で試練の時を迎えます。
いざさらば。